Subject: [ts-mag:00076] OpenGIS Mail Magazine for T.S.U 【第 281号】
    Date: Tue, 09 Jan 2007 08:27:52 +0900
    From: WAZA Toshihiko

OpenGIS Mail Magazine for Technical Support Users     2007/01/05
Keywords: OpenGIS,TNTmips, Object Coordinate, Map Coordinate

オープンGIS
テクニカル・サポート専用メールマガジン

第281号「   オ ブ ジ ェ ク ト 座  標  と  地  図  座  標    」
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                       株式会社 オープンGIS



明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

年も明けて、気持ちも新たにということで、今回はGISで使う基本用
語について解説しました。

"オブジェクト座標"と"地図座標"

"オブジェクト座標"のことを、"機械座標"とか"装置座標"と呼ぶ方もい
ます。


・・・


●ラスタの場合

ラスタのオブジェクト座標とは、"ライン"と"カラム"のことです。ライ
ンは上から1行、2行、...と数えます。カラムは左から1列、2列、...
です。

ライン、カラムを指定すると、どのピクセルか分かりますが、それが地
球上のどの場所に対応するかは分かりません。

そのため、皆さんは、位置の分かった場所にコントロールポイントを落
として、地球上の位置(座標)との対応付けをしています(いわゆるジオリ
ファレンス処理です)。

ジオリファレンスしたデータは、地図座標を持ったデータになり、他の
地理データと一緒に表示したり、いろいろなGIS処理をすることが可
能になります。

ラスタデータにとって、"コントロールポイント"はラスタデータをラス
タ"地理データ"に"格上げ"するためになくてはならない存在です。なお、
ラスタが座標軸の方向に再配列(リサンプル)されている場合は、縦横方
向のセルサイズとどこか1箇所(通常は左上隅)の座標が与えられれば、
地理データとして扱えます(シンプル・ジオリファレンス)。


●ベクタやCADの場合

他方、ベクタオブジェクトの場合は、点やラインを構成するポイントは、
X-Y 座標で与えられます。

今はもうあまり使わないかもしれませんが、紙地図をデジタイザ(図面を
数値化するための電子的な板)に貼って入力すると、デジタイザ上でのミ
リメータ単位の座標がベクタのオブジェクト座標になったりしました。
こういう話を聞くと、オブジェクト座標を"装置座標"と呼びたくなる気
持ちも分かります。

デジタイザ(平成8年)



往年のカルコンプ社製 DrawingBoard III(図はA1サイズ)

カーソルを図面にあててラインを入力していました。




あるいは、国土地理院の数値地図データなどでは、図幅毎にデータが 0 
から10,000 というように、正規化された数値になっている場合がありま
す。

例.数値地図25000(行政界・海岸線)のInternalテーブル(ポイント)



x, y 座標とも、0-10,000 に正規化されています。

このときは、ラスタと同じように、適当な位置にコントロールポイント
を置いて、ベクタ"地理データ"にします。オブジェクト座標自体は地図
座標ではありませんが、コントロールポイントの情報が優先しますので、
ベクタは地球上の正しい位置に表示されます。




オブジェクト座標を地図座標に変換したい時は、いわゆる『座標変換』
を行います。TNTmips のメニューでは、「各種図形」>「リプロジェク
ト...」です。(V72;以前のバージョンにも同等のメニューがあります)。

いったんオブジェクト座標が地図座標になってしまえば、もはやコント
ロールポイントは不要です。必要なのは、地図座標X-Y が何の地図座標
なのか(緯度経度なのか、何か他の平面に投影された座標か)という情報
です。これをTNTmips では『暗示的ジオリファレンス(implied 
georeference)』と呼んでいます。

座標変換を行うと、コントロールポイントはなくなって、暗示的ジオリ
ファレンスに変わります。

ベクタをジオリファレンスしようとして、ベクタが選択できないときが
ありますが、



これは、ベクタが暗示的ジオリファレンスを持っているためです。この
ときは暗示的ジオリファレンスを一度削除すれば、選択できるようにな
ります。


・・・


オブジェクト座標と地図座標、ラスタとベクタで違うので、まごつく方
が多いようです。整理すると、

1)ラスタの場合、オブジェクト座標は[ライン、カラム] です。『コン
トロールポイントによるジオリファレンス』を与えることにより、ラス
タ地理データになります。

2)ベクタの場合、構成する点が[X, Y] 座標であるため、オブジェクト
座標と地図座標を区別しにくいようです。

3)ベクタで、オブジェクト座標が地図座標に等しくないときは、『コ
ントロールポイント』を与えて、地理データにします。

4)ベクタで、オブジェクト座標が地図座標に等しいときは、『暗示的
ジオリファレンス』を与えて、地理データにすることができます。







□■Tips□■
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Q1."暗示的ジオリファレンス"かどうかの判断はどこでする?

A.「プロジェクト(RVC)ファイルのメンテナンス」です。

暗示的ジオリファレンスの場合、このように表示されます:




コントロールポイントの場合はこうです:





Q2."暗示的ジオリファレンス"を削除するには?

A.「プロジェクト(RVC)ファイルのメンテナンス」で削除します。





Q3."暗示的ジオリファレンス"を作成するには?

A.ジオリファレンスの中のメニューに、暗示的ジオリファレンスを作
成するメニューがあります。



ベクタを指定すると、"保存されました"のメッセージが出ます。または
「操作ツール」>「座標参照系の変更...」コマンド(V72)でも可能です。

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エラー・バグ・トラブル
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● メルマガ【第 277号】で報告しました「ベクタデータを他のパソコン
にコピーして、表示しようとすると「アクセス不許可」のメッセージが
出る」エラーが修正されました(V72)。

【エラー番号】crr12320E - Display vector: Get 'no access 
permitted' message when add vector to Display

2006年12月6日以降のV2006:72のパッチをご使用ください。

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機能要求
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● お喜びください。メルマガ【第 279号】で紹介しました新機能要求
「表示ウィンドウ上でファイル名やオブジェクト名をデータチップで表
示したい」が DV73 で実装されました。

【機能要求番号】crr12503N - GeoDisplay/Datatips: Add option to 
use filename and object name as datatip

2006年12月27日以降の DV2007:73 をお使いください。
 http://www.microimages.com/freestuf/tntpatch/DV73.htm


G4マックで実際に使ってみました。

▼ 表示ウィンドウの「オプション」メニューから「データティップ」>
「Object Names」を選びます。




▼ カーソルをオブジェクトの上に置くと、このようにRVCファイル名、
オブジェクト名が表示されます。



これでラスタやベクタをたくさん表示しても、どのオブジェクトかすぐ
分かりますね。

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● ERDAS-IMG 形式のラスタをインポートする際、一緒にクラステーブル
もインポートできるようになりました。

【機能要求番号】PAT6899N ERDAS-IMG: allow to import class 
attribute table while importing raster in ERDAS-IMG

2006年12月27日以降の DV2007:73 をお使いください。
 http://www.microimages.com/freestuf/tntpatch/DV73.htm

 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +

● SMLでのヌルマスクの作成が、DV73 でサポートされました。
【機能要求番号】crr7243N - SML Functions/Classes: Add functions 
to create and destroy null masks Methods Added:

RVC_NULLMASK::Make()
RVC_NULLMASK::Open()
RVC_OBJECT::Delete()

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● メルマガ【第 279号】で報告した「フィーチャマッピングで、サンプ
ルポイントをポリゴンで入力したい」について機能要求番号が付きまし
た。

【機能要求番号】mju2031N - Feature Mapping: Support polygon tool 
for sample selection.

同様の要求として、以下のようなものがあります。

【機能要求番号】jlc2322N - Feature Mapping: Allow use of vector 
element(s) to define sample points.(ベクタをサンプルポイントにし
たい)
【機能要求番号】pac2119N - Feature Mapping: Allow manual entry of 
sample ranges.(サンプルの範囲をマニュアル入力する)

ただし、優先度は高くないとのことです。

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● XML においてシフトJIS のサポート:

【機能要求番号】btc12615N - SML Functions/Classes - XMLDOC: 
Support Shift JIS encoding of xml.

現状では、UTF-8 のエンコードを使ってください。

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★ DV73の使用について
===============================================================

V72 製品版を購入されているユーザは、DV(開発版)73 を製品版(データ
サイズ制限なし)として使用できます。30日間で使用期限が切れますが、
パッチを更新することでさらに30日間ずつ延長使用が可能です。

RV73 として公式リリースされた後も継続して使用するためには、ライセ
ンスの購入が必要です。

===============================================================





□■ お知らせ □■
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆大切なお知らせです。

『TNT製品の年間バージョンアップが年1回になります』

来年の2月15日から、TNT製品の年間バージョンアップの回数が、これ
までの年2回から年1回に変わります。料金は変わりません。

これは、複数プラットフォームのサポート、開発・テストに伴う負荷、
ウェブサーバ製品の開発などのため、年2回の定期的なリリースを維持
するのが難しくなったためです。

2007年2月15日迄のご注文に対しては、最新バージョン(V72)をお持ちの
ユーザは、これまでと同じ金額で V73 とV74 の2回分が提供されます。

年間バージョンアップを購入するには、2月15日以前、以降に関わらず、
最新バージョンV72にあげる必要があります。

かなり先のバージョンまで購入されているユーザは、今回の変更に関わ
らず、購入された回数分のバージョンが使用可能です。

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□■ 書 籍 □■
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秋山・石塚・内田・岡本・小川・斎藤編著「農業リモートセンシング・
ハンドブック、製本+DVD版」(システム農学会) 発刊のお知らせ

● 2007年1月31日発行予定(発送は2月末から3月上旬を予定)

● 白黒版(カラーDVD付)	定価  2,625円(税込)
● 全面カラー豪華版		定価 52,500円(税込))

● 目次
第1部 衛星画像で見る日本と世界の多様な農業
 第1章 世界農業概観
 第2章 日本の農業地帯
第2部 リモートセンシング技術の農業利用
 第1章 作物管理・統計利用
 第2章 インフラ整備・農地管理・地域計画・土地利用
 第3章 環境・生態・災害・防災
第3部 リモートセンシング画像解析の基礎
 第1章 リモートセンシングの進歩
 第2章 農作物の分光特性、熱特性と指数化
 第3章 多重分光データの基礎
 第4章 SAR 技術
 第5章 リモートセンシングの実施技術
第4部 リモートセンシング解析演習、利用ソフトとデータ
 第1章 MultiSpec による演習
 第2章 衛星データ利用のための道具と手法
 第3章 リモートセンシング処理ソフトウェア
 第4章 衛星画像
 第5章 航空機画像
 第6章 地上測定機器

当社も付録にソフトウエア、業務内容の紹介文を掲載しています。

● 特別価格(2007年1月12日(金)受付分まで)

白黒版(カラーDVD付)を1部 2,100円(税込)+送料別でお分けします。

冊数、発送先、請求書種別(銀行または郵便振込)を明記して、メー
ルでご注文ください。

納品と一緒に請求書を同封します。

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■■■■■■■ 現 在 の T N T m i p s の 価 格 ■■■■■■

◆ 現在の V2006:72 の価格

・TNTmips シングルライセンス 890,400円(送料・税込)
・TNTedit シングルライセンス 537,600円(送料・税込)
・TNTview シングルライセンス  81,900円(送料・税込)

・TNTmips 年間バージョンアップ(2回分) 147,000円(税込)
・OpenGIS 年間テクニカルサポート       94,500円(税込)

・V2005:71 --> V2006:72へのアップグレード   88,200円(税込)
・V2004:70 --> V2006:72へのアップグレード  132,300円(税込)
・V2003:69 --> V2006:72へのアップグレード  169,050円(税込)


◇ HASP-USB キーへの交換		19,950円(税込)
 http://www.opengis.co.jp/htm/catalog/tntinfo/tntinfo_fixed_license.htm
※交換に際して、お持ちのTNT製品が最近のバージョンである必要があり
ます。


◆『TNTlite日本語解説セット』V72版 好評販売中!!
	(プログラム及びサンプルデータCD付き)

	<目次>
	1.空間データの表示
		2次元データの表示
		3次元鳥瞰図の作成
	2.衛星データの取り込み
	3.ジオリファレンス
		地図画像への座標情報付与
		衛星画像への座標情報付与
	4.GPSデータの取り込み
	5.標高データの解析
		陰影図の作成
		断面図の作成
		勾配・斜面方位の演算

 http://www.opengis.co.jp/htm/info/book.htm

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困ったときの問題解決フローチャート

▼STEP1「ウェブサイトで検索してみる」
▼STEP2「ウェブサイトにある情報を眺めてみる」
▼STEP3「ドキュメントを読んでみる」
▼STEP4「メーリングリストへ聞いてみる」
▼STEP5「テクニカルサポート」



STEP1 「ウェブ検索テクニック」
 ▽オープンGIS検索システム
 http://www.opengis.co.jp/htm/namazu.cgi
 ▽メールマガジン検索システム
 http://www.opengis.co.jp/mail_mag/namazu.cgi
 ▽マイクロイメージ検索サイト
 http://www.microimages.com/search/
 ▽Google 検索
 http://www.google.co.jp/
 とくに、and検索(キーワードの間に空白)、not検索(キーワードの前に
 - や not を入れる)、とは検索(キーワードの後ろに "とは" をつける)
 を使いこなすと、便利です!


STEP2 「ウェブサイトの有用な情報源」
 ▽オープンGIS ウェブサイト「基本操作」
 http://www.opengis.co.jp/htm/basic/title.htm [日本語]
 ▽オープンGIS ウェブサイト「メニュー解説(Flash)」
 http://www.opengis.co.jp/flash/index.htm [日本語]
 ▽オープンGIS ウェブサイト「SML スクリプトの解説」
 http://www.opengis.co.jp/sml/sml_index.htm [日本語]
 ▽オープンGIS ウェブサイト「作業で必要となる情報を集約したポスター類」
 http://www.opengis.co.jp/htm/gallery/index.htm [日本語]
 ▽オープンGIS ウェブサイト「メルマガバックナンバー」
 http://www.opengis.co.jp/mail_mag/index.htm [日本語]


STEP3 「ドキュメントを読んでみる」
 ▽オープンGIS ウェブサイト「その他ドキュメント一覧ページ」
 http://www.opengis.co.jp/htm/documents.htm [日本語]
 ▽オープンGIS ウェブサイト「チュートリアルテキスト&リモセンテキスト」
 http://www.opengis.co.jp/htm/info/book.htm [日本語]
 ▽マイクロイメージウェブサイト「ワンポイントテクニック集」
 http://www.microimages.com/didyouknow/ [英文]
 ▽マイクロイメージウェブサイト「TNT入門(Getting Started)」
 http://www.opengis.co.jp/htm/getstart/getstart.htm [日本語]
 http://www.microimages.com/getstart/ [英文]
 ▽マイクロイメージウェブサイト「リファレンスマニュアル」
 http://www.microimages.com/refman/


STEP4「メーリングリストへ聞いてみる」
 メーリングリストに参加されたい方は、
 info@opengis.co.jp までご連絡ください。
 弊社からの対応は バグ対応と、新製品告知のみになります。


STEP5「テクニカルサポート」
 テクニカルサポート・ユーザー専用 メールアドレス





############# このメールマガジンの配信について ################

このメールマガジンは、
年間テクニカル・サポートに加入されている、
ユーザーさまのみを対象としております。

基本的には、登録アカウント1つに対して
1ユーザーを配信対象としておりますが、
例えば、研究室の予算で加入された場合などは、
ご購入いただいた指導教官と、実際に TNTmips で作業を行う学生1名の、
計2ユーザーを対象として配信させていただきます。

1アカウントに対して合計3名以上の配信は行いません。
学生さん2名が同じくらい使用する場合は、
申し訳ありませんが、じゃんけん等で1人に決めてください。


また、テクニカル・サポートの期限を3ヶ月以上過ぎてしまった場合は、
メールマガジンの配信を停止させていただきます。

メールマガジンが配信されなくなった時は、
サポート期限が3ヶ月過ぎたとお考えください。



転勤、ドメイン変更などでメールアドレスが変わった場合は、
お手数ですが、弊社までご連絡ください。



テクニカル・サポート活用案内
>サービスその1:緊急なバグ情報はすぐにメール配信します。
>サービスその2:TNTmips に関するどんな質問にも TEL/e-mail/FAX で対応。
>サービスその3:対応は最優先で行います。
>サービスその4:専用FAX質問用紙をお送りします。
>サービスその5:週に1回メールマガジンを配信します。
>サービスその6:展示ブースへご来場の方には特製オリジナルグッズを進呈。
>サービスその7:サポート対応で FTP サイトを 20MB まで利用できます。
>サービスその8:メルマガ・バックナンバー・サイトも利用できます。
>サービスその9:FTP サイトを 500MB に拡張しました...
>サービスその10:現在計画中です...


テクニカル・サポート・ユーザー専用 メールアドレス


テクニカル・サポート・ユーザー専用 FTPアカウント(最大容量500Mbyte)


●テクニカルサポート用にスカイプのIDを用意しました。
テスト利用のためオフライン時は、申し訳ありませんが使用できません。





============ おことわり =============

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 TNTmipsに関わる新しいニュースを、
 毎週金曜日に、皆さまへご提供させていただきます。

※このメールマガジンの転載・転送はご遠慮ください。

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